学びの航路……プログラム選択支援のための提案型ナラティブガイド|Chapter 2


CHAPTER 2  VOYAGE LIST … チャプター2 航路リスト

Voyage 05.
メディカル・エンジニアリングと医療実装
〈診断・治療・教育の再設計〉

Voyage 06.
免疫・ワクチンとバイオロジクス
〈バイオ医薬 × DDS × 創薬基盤〉

Voyage 07.
ハードテック・フロンティア
〈宇宙 × 量子 × 極限環境と次世代エネルギー・デバイス〉


VOYAGE 05.
メディカル・エンジニアリングと医療実装
診断・治療・教育の再設計

この航路で扱う「問い」

臨床現場の切実な課題を出発点に、
工学やAIは、医療の診断・治療・教育をどう進化させられるか?

医療は今、工学・情報・デザインとの融合によって
大きく変わりつつあります。
希少がん治療などに見られる「現場の未解決課題」に向き合い、
磁性ナノ粒子や発光分子によるイメージング技術、
VRや全天球映像を活用した医療教育へと展開する——。
医学と工学を接続する視点から、
診断・治療・教育を支える技術とシステムを
「設計し、実装する」ための考え方を学びます。

■ 医療現場の切実な課題(アンメット・メディカル・ニーズ)を捉える力
■ 「測る・視る・治す」を支える医療テクノロジーの理解
■ 医療×材料×情報×デザインの統合的視点

■ 医療デバイス・医療AI・診断技術に関心のある人
■ 工学・材料・情報分野から医療応用を目指す人
■ 医療教育や医療システムの改善に関心のある人

■ 高感度イメージングによるがん・疾患の早期発見
■ 難治がんや希少がんに挑む治療開発
■ 医療×工学・デザインによる現場改善

航路05 関連講座例 | クリックして講座例を見る

No. 2 14-11-オ 1I

土橋 賢司 
病院 血液・腫瘍・心血管内科 助教

希少がんとは、年間の罹患率が人口10万人あたり6人未満とされ、診断や治療の面で多くの課題を抱えるがんの総称です。近年、希少がん医療の発展を目指し、行政、医療機関、患者団体などが連携した取り組みが進み始めています。一方で、新しい治療薬の開発には、 治療の「的」となる分子を見つける基礎研究から、臨床試験の実施まで、長い時間と継続的な支援が必要です。 本講義では、希少がん医療の現状と課題をわかりやすく紹介します。

3月14日(土) 11:00~ オンライン

No. 57 18-13-オ 2F

笹山 瑛由 
システム情報科学研究院 准教授

高感度磁気センサーを用いれば、遠方にある磁性体や導体の位置を磁気的に検出することができます。磁性ナノ粒子を高分子で被覆し、抗体を結合した磁気マーカーを人体に投与して癌に結合させた後、高感度磁気センサーで磁性ナノ粒子からの磁界を計測すれば、癌のイメージングができます。本講座では、当研究室で行っている、磁性ナノ粒子を用いた癌のイメージングに関わる研究について紹介します。

3月18日(水) 13:00~ オンライン

No. 65 19-10-ハ 1B

千歳 洋平 
工学研究院 応用化学部門 助教

これまで別々に開発されてきた「強く光る分子」と「深く届く光を吸収できる分子」を、ひとつの分子設計で融合しました。近赤外2光子吸収と熱活性化遅延蛍光特性を両立する発光材料をとおして、分子設計の考え方を変えることで、ひとつの分子からデバイスとイメージングを同時に進化させられる可能性を紹介します。

3月19日(木) 10:00~ ハイブリッド

No. 82 20-17-ハ 3H

工藤 孔梨子 
病院 国際医療部 講師

病院内にはさまざまな問題がありますが、デザインはその解決の一助を担うことで医療そのものの質を向上させる可能性を秘めています。九州大学では、芸術工学(デザイン学)部・医学部・大学病院を併せ持つ日本でも稀有な総合大学という特色を生かして、2021年から「医療×デザイン教育プログラム」を実施。一般外科・神経内科・看護などの診療科と連携し、プロダクトやゲームなどの多様なアイディアを作成・実装してきました。今後、企業の皆様のご協賛を仰ぎ、さらなる体制強化を図ることを検討中です。

3月20日(金) 17:00~ ハイブリッド

No. 62 18-16-ハ 3A

上田 真太郎 
病院 国際医療部 アジア遠隔医療開発センター 特任講師

本研究では、Meta Workrooms および Virbela を対象として、医療教育における画像品質を評価しました。その結果、Meta Workrooms では教育目的に対して画像品質が不十分である一方、Virbela では高解像度画像よりも低解像度画像共有のほうが良好な画像品質を示すという結果が得られました。今後、メタバースプラットフォームを用いた遠隔医療教育の発展には、医療教育に適した画像品質の向上が重要な課題であると考えられます。

3月18日(水) 16:00~ ハイブリッド

No. 61 18-15-オ 3A

久田 由紀子 
病院 国際医療部 アジア遠隔医療開発センター 特任助教

パンデミックや学び方の多様化により、医学教育や研修は、動画を用いたオンラインやオンデマンドでも行われる機会が急増しました。しかし、一般的な2次元の動画では研修者へ伝えられる情報に限界があります。全天球カメラはカメラ位置から全方位の映像を撮影するため、視聴者が自由に視点を変えられ、立体構造や位置関係、動きや相互作用の理解が容易となり、効果的な教育・研修を提供できる可能性があります。さらに臨場感、没入感に優れている点で有用です。本研究では全天球カメラを用いた医学教育動画の作成を試みています。

3月18日(水) 15:00~ オンライン


VOYAGE 06.
免疫・ワクチンとバイオロジクス
バイオ医薬 × DDS × 創薬基盤

この航路で扱う「問い」

免疫を理解し、安全で効くワクチンやバイオ医薬をどう設計し、どう届けられるか?

免疫は、身体を守る精緻な仕組みです。
その力を引き出し、適切に制御することが、次世代医療の鍵になります。
経皮・経口ワクチンの開発、
標的部位へ薬物を届けるDDS(ドラッグデリバリーシステム)、
そして、創薬を支えるバイオ材料や送達技術。
基礎研究から製剤化、新しい治療法の確立まで、
バイオ医薬を社会に実装するための基盤を学びます。

■ 免疫メカニズムを基盤にした創薬アプローチ
■ DDSやバイオ材料による「薬を届ける技術」の最前線
■ 基礎研究から実用化までを見据えた医薬品開発のプロセス

■ 免疫・創薬・バイオ分野の研究に関心がある人
■ 基礎研究の成果を医療現場や社会実装につなげたい人
■ 次世代の医薬品開発や製薬ビジネスに関心がある人

■ 免疫反応を精密に制御する、副作用の少ない治療法
■ DDSによる標的指向型治療の高度化と個別化医療への貢献
■ バイオ医薬を支える次世代の創薬基盤の確立と社会実装

航路06 関連講座例 | クリックして講座例を見る

No. 81 20-16-ハ 4I

藤井 敬之 
医学研究院 神経内科学 助教

神経障害性疼痛は、神経損傷や化学療法などにより発症し、慢性化・難治化しやすい疾患です。現在の標準治療であるガバペンチノイドや抗うつ薬は、効果不十分または副作用により治療継続が困難な患者も多く、作用機序の異なる新規治療の開発が強く求められています。私たちは、これまで疼痛治療の標的として十分に検討されてこなかった「免疫セマフォリン」に着目し、免疫細胞と感覚神経の相互作用を制御する新しい治療概念を提案しています。

3月20日(金) 16:00~ ハイブリッド

No. 31 16-13-ハ 2B

新居 輝樹 
工学研究院 応用化学部門 助教

マックトリガーは、がん組織に特異的に炎症を誘導し、自己の免疫でがんを殺傷するという、従来のがん治療とはまったく異なる概念にもとづく新しい治療戦略です。マックトリガーはメディアなどに広く取り上げられたことで実用化への社会的な期待が高まっており、臨床試験に向けた研究開発を鋭意進めています。本講では、現在のがん治療の課題を概説するとともに、マックトリガーの基礎的データ、実用化に向けた最新の研究成果、さらに今後の展望についてご紹介します。

3月16日(月) 13:00~ ハイブリッド

No. 32 16-13-オ 3I

川口 喜郎
工学研究院 応用化学部門 助教

経皮ワクチンは、抗原を皮膚に塗布することで、抗原特異的な免疫応答を促進するワクチンです。本研究では、ペプチドをデリバリー分子として、抗原の樹状細胞への取り込みを制御することで、経皮ワクチンにおける免疫細胞の分化制御を目指しています。指向性進化法により新規に取得したペプチドが抗原の樹状細胞への取り込みを促進することについて報告します。

3月16日(月) 13:00~ オンライン

No. 26 15-17-オ 3B

李 在萬 [リー・ジャエマン/Jae Man LEE
農学研究院 教授

本講座では、昆虫発現系(カイコーバキュロウイルス発現系)を活用した、次世代経口ワクチンプラットフォームの研究開発について紹介します。カイコは、複雑なタンパク質を高効率かつ安全に生産できる生物資源であり、ワクチン抗原や免疫応答を高める因子(粘膜アジュバント)の生産に適しています。本講座では、研究の背景から最新の成果までを紹介し、家畜や野生動物の感染症対策に応用可能な経口ワクチン技術の展望について解説します。

3月15日(日) 17:00~ オンライン

No. 36 16-16-ハ 3A

井嶋 博之 
工学研究院 教授

独自のナノゲルエマルション開発により、安定性に優れた薬物送達システムを実現し、組織への浸透性・貯留性・徐放性が向上します。これにより、点眼による網膜への薬物送達をはじめとして、経皮送達および注射薬剤としての有効性も実証済みで、がん治療や創傷治癒にも有効です。当該薬物送達システムは、薬物の親・疎水性、分子サイズ、荷電状態、pHによらず適応可能であり、低分子医薬品はもちろんのこと、高分子バイオ医薬品への適応も可能です。

3月16日(月) 16:00~ ハイブリッド

No. 10 14-16-オ 2B

若林 里衣 
工学研究院 応用化学部門 准教授

さまざまな分子間の相互作用により、自発的に特定の構造体を形成する「自己組織化」という現象を使うと、比較的シンプルな分子からナノ〜マイクロスケールの構造体を持つ材料の創製が可能になります。本講演では、ドラッグデリバリーやワクチンに応用するための材料設計について、特に水中で自己組織化するペプチド誘導体に、さまざまな薬物分子やタンパク質を修飾するという私たちの研究内容について紹介します。

3月14日(土) 16:00~ オンライン

No. 74 19-16-オ 4I

吉村 成弘 
理学研究院 教授

DNAを細胞内に導入する技術がすでに実用化されているのとは対照的に、タンパク質を導入する技術はいまだに確立されておらず、ライフサイエンス・医療分野の発展における足枷になっています。ここでは、当研究グループが開発した「タンパク質導入技術」の仕組みからその医療応用の可能性までをわかりやすく概説します。

3月19日(木) 16:00~ オンライン

No. 85 21-13-ハ 3B

三浦 佳子 
工学研究院 教授

本講演では、生き物たちの優れた機能を最新の化学で再現する「バイオミメティック(生物模倣)」の世界をご紹介します。光を使って分子の鎖をひとつずつ丁寧に編み上げる「精密合成技術」を駆使すれば、温度の変化を感じて形を変える「4Dプリンティング材料」や、傷ついた体を癒す「人工の細胞ベッド」など、まるで魔法のような素材を生み出すことができます。「生き物の知恵」と「最先端の化学」が融合することで、これからの医療やものづくりがどう変わっていくのか。研究室から生まれる、未来を創るための「ポリマー材料」の最前線を、わかりやすく解き明かします。

3月21日(土) 13:00~ ハイブリッド


VOYAGE 07.
ハードテック・フロンティア
宇宙 × 量子 × 極限環境 × 次世代エネルギー・デバイス

この航路で扱う「問い」

極限環境や量子レベルの科学を、宇宙から産業基盤まで、
社会を支える技術へと、どう展開できるか?

ミクロな量子世界から宇宙空間、
さらには高温・高圧・放射線といった極限環境まで、
その探究は、新しい技術の源泉になります。
素粒子実験や量子ビームによる計測、
電子・スピンレベルの物性理解は、
医療診断や非破壊検査、宇宙観測へと応用されています。
さらに、物質内部を原子・電子レベルで精密に理解することで、
水素エネルギーや全固体電池といった
次世代産業インフラを支える材料・デバイス技術へと発展が期待されています。
原子・電子レベルの現象理解から、
材料設計、エネルギーデバイス、
そして、未知の環境に適応可能な次世代ロボティクスまで、
社会を支えるハードテックがつくりだされるプロセスを探ります。

■ 量子・原子レベルの現象がマクロ機能へ接続される原理
■ 量子ビームや高度計測技術の仕組みと社会応用
■ 水素エネルギー、全固体電池、ソフトロボティクスなど次世代技術の展望

■ 物理学、材料工学、宇宙、量子技術に関心のある人
■ 基礎科学をエネルギーや産業インフラに応用したい実務者
■ 宇宙や素粒子など根源的な〈知〉を社会実装する視点を学びたい人

■ 宇宙環境モニタリングから非破壊検査までを支える高度な計測・センサー技術
■ 電子スピンや量子特性を活用した次世代デバイス
■ 極限環境でも機能する高耐久エネルギー・材料システム

航路07 関連講座例 | クリックして講座例を見る

No. 3 14-13-ハ 2C

LIU Huixin [リュウ・フイシン] 
理学研究院 教授

本講座では、衛星通信・測位の安定運用に不可欠な低軌道宇宙環境の最新知見を解説します。太陽活動に加え、台風や地震など地球起因の宇宙環境変動が衛星運用へ与える影響を学び、地域性を考慮した実践的な宇宙天気リスク評価と対策への応用を紹介し、宇宙天気と気候変動を結びます。

3月14日(土) 13:00~ ハイブリッド

No. 20 15-14-オ 3I

吉岡 瑞樹 
基幹教育院 教授

加速器を用いた素粒子物理実験の最先端を紹介します。前半では、私たちが扱う素粒子がどのように生成され、どのような実験で何を明らかにしようとしているのかを、研究の背景や目的とともに紹介します。後半では、こうした技術が産業・医療・非破壊検査などにどのように応用されているかを紹介します。さらに、近年注目されるシチズンサイエンスとして、小型検出器を活用した社会参加型の観測活動の可能性についても取り上げます。

3月15日(日) 14:00~ オンライン

No. 1 14-11-ハ 1 B

津守 不二夫 
工学研究院 航空宇宙工学部門 教授

従来の工学では強い金属や強力なモータで「剛に押し切る」ことで産業を構築してきました。本講演では「やわらかな/しなやかな」構造を機能へ変える生体模倣工学を紹介します。磁場駆動型のソフトロボットや、寄生蜂の産卵管に倣う高効率穿孔手法を紹介します。

3月14日(土) 11:00~ ハイブリッド

No. 5 14-14-ハ 1B

山下 尚人 
システム情報科学研究院 准教授

近年、ChatGPTやGeminiなど、生成AIの進化が目覚ましく、社会生活の一部となりつつあります。本講義では、 電子工学および情報科学の学理の結晶ともいえるAIの実体の概説を試みます。前半はAIに用いられるシステムおよびそれを形作る半導体デバイスについて説明します。後半は、将来のAIの進化に貢献するための新しい半導体デバイスについて、講演者の専門である半導体スピントロニクスデバイスを中心に紹介します。

3月14日(土) 14:00~ ハイブリッド

No. 67 19-11-ハ 3J

吉岡 宏晃 
システム情報科学研究院 准教授

「印刷技術」で高度な光回路を作る、最新のプリンタブル・フォトニクスを紹介します。必要な場所に材料を描く本技術は、省エネ製造を実現し、自然に溶け込む環境センサーへも応用可能です。ものづくりの改革から地球と調和する「光のエコシステム」まで、未来を拓く技術展望をお話しします。

3月19日(木) 11:00~ ハイブリッド

No. 48 17-16-ハ 2B

久保田 祐信  
カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER) 教授
尚 娟[シャン・ジゥアン/SHANG Juan] 
カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER) 助教

水素利用は、カーボンニュートラル達成に向けた重要な技術的な道筋のひとつと考えられています。一方で、金属材料には「水素脆化」と呼ばれる、水素によって材料の強度が低下するという課題があります。本講座では、水素脆化の評価やその抑制に関する研究に加え、高温水素中における材料強度の劣化に関する研究について、実際の設備も含めて紹介します。

3月17日(火) 16:00~ ハイブリッド

No. 28 16-10-オ 2E

兵頭 潤次 
カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER) 准教授

水素を燃料として電気エネルギーを取り出す燃料電池は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重要な技術です。しかし、現在の開発スピードのままでは、残り25年という限られた期間で目標を達成することは容易ではありません。本講座では、人工知能(AI)技術を活用した燃料電池材料の開発事例を紹介します。実際の材料発見に至った成功例や、うまくいかなかった失敗例を手がかりに、AI技術をどのように材料探索へ効率的に取り入れるべきか、そしてAIと人間がどのように協働すべきかを考察します。

3月16日(月) 10:00~ オンライン

No. 70 19-13-オ 4I

Leonard KWATI [クワティ・レオナルド] 
カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER) 准教授

Ceramic proton-conducting membranes are key materials for energy conversion, operating at moderate temperatures and enabling efficient electrochemical and thermochemical processes. This course introduces the fundamentals of proton-conducting metal oxides, including their properties and fabrication, and examines applications in fuel cells, hydrogen electrolysis, methane coupling, and catalytic membrane reactors, highlighting their potential for integrating renewable energy with sustainable chemical manufacturing.

3月19日(木) 13:00~ オンライン

*講義は英語で行われます。

No. 25 15-17-ハ 3B

本山 宗主 
エネルギー研究教育機構 准教授

全固体電池は、高エネルギー密度を実現する次世代蓄電池として期待されていますが、実用化に向けては耐久性などの課題が残されています。本講座では、リチウム金属およびフッ化物電池用合金正極に着目し、最近の研究成果を踏まえながら、全固体電池の実用化に向けた展望を紹介します。

3月15日(日) 17:00~ ハイブリッド